コーヒーを淹れる(抽出する)温度の考え方
まず、コーヒーを抽出することと温度の関係について説明します。基本的には、お湯の温度を上げるほど「成分が抽出されやすい」と覚えておいてください。
コーヒーを淹れるときにお湯を沸かすのは、低い温度では成分が出にくいからです。その証拠として、水で抽出する水出しコーヒーは7〜8時間ほどかかります。
じゃあ、温度が高ければ高いほど良いの?というと、そういうわけではありません。なぜなら、温度が高すぎると「嫌な味わい」の成分まで一緒に抽出してしまうからです。
具体的には、舌を刺すようなエグ味や雑味が出てしまいます。つまり、コーヒーを抽出するときは、おいしい成分だけを抽出できる丁度良い温度にする必要があるのです。
深煎りコーヒーを淹れるときの適切な温度
深煎りコーヒーを淹れるときの温度は、ちょっと低めの82〜3度くらいにします。なぜなら、深煎りコーヒーは焙煎が進んでいるため、成分が抽出されやすいからです。
コーヒー豆は焙煎する(火を入れる)ことによって、細胞がもろくなり成分を抽出できるようになります。つまり、深煎りのコーヒー豆は成分が抽出されやすい状態なのです。
加えて、焙煎によってメイラード反応(=焦げる)が起こるため、苦味が強くなっています。苦味やエグ味、雑味などを抑えるために温度は低め(=82〜3度)くらいにしましょう。
中煎りコーヒーを淹れるときの適切な温度
中煎りコーヒーを淹れるときの温度は、深煎りよりも高めの85〜6度くらいにします。
中煎りコーヒーは焙煎が進んでおらず、成分が抽出しにくい状態です。お湯の温度を上げてあげることで、中煎りコーヒーの甘味を引き出してやる必要があるのです。
中煎りコーヒーを淹れるときの温度が低いと、成分がしっかり抽出されず、かえって生っぽい渋みが出てしまうことがあります。そういった時は温度を上げてみてください。
浅煎りコーヒーを淹れるときの適切な温度
浅煎りコーヒーを淹れるときの温度は、かなり高めの90〜92度くらいにします。なぜなら、浅煎りコーヒーは焙煎がほとんど進んでおらず、より生豆に近い状態だからです。
コーヒーは生豆の状態では、細胞が硬く成分を抽出することができません。コーヒー豆は豆といっていますが、実際は「種」ですから、成分の抽出しにくさはイメージできるでしょう。
お湯の温度が低すぎると、中煎りコーヒーと同じように、生っぽい渋みや青臭さが出てしまいます。いわゆる「未抽出」といわれ、成分が十分に抽出されていない状態です。
一方、温度を高くしてやると浅煎り特有のフルーティーな酸味や香り、甘味をしっかり引き出すことができます。浅煎りコーヒーをおいしく淹れられないときは温度を上げましょう。
まとめ:コーヒーの焙煎度ごとに温度を変えてみよう
今回は、コーヒーを淹れるときの温度について、焙煎度ごとに紹介しました。
本記事の要点は、以下のとおりです。
● 深煎りコーヒーを淹れるときは、82〜83度くらいが良い
● 中煎りコーヒーを淹れるときは、85〜86度くらいが良い
● 浅煎りコーヒーを淹れるときは、90〜92度くらいが良い
この記事を参考にして、焙煎度ごとに適切な温度のお湯を用意して、おいしいコーヒーを淹れて楽しんでくださいね。
今野直倫
放浪のバリスタ兼WEBライター。
JSFCAコーヒーソムリエ・食品衛生責任者・飲食営業許可取得。
全国各地でカフェを開催。
自家焙煎のコーヒーを焼きたて、挽きたて、淹れたてにこだわって、
お客さんの目の前で一杯一杯ハンドドリップ抽出。
コーヒーの知見を活かしてWEBライターとしても活動中。
自家焙煎やお家カフェの楽しみ方や、役に立つコーヒーの知識をお届けします。